給与明細をよく見たら、思ったより手取りが少ない。「Tax」という項目でけっこうな金額が引かれている気がするけれど、これって取られっぱなしなのだろうか。オーストラリアでワーキングホリデーや学生ビザを使ってアルバイトをしていると、こんな疑問を持つ人は少なくありません。
実はオーストラリアには「タックスリターン(Tax Return)」と呼ばれる制度があり、日本の年末調整・確定申告にあたる手続きをすると、給与から天引きされていた所得税の一部が戻ってくることがあります。この記事では、タックスリターンとは何か、働く前に必要なTFN(タックス・ファイル・ナンバー)の取得方法、ワーホリ・学生ビザで税率がどう違うのか、申告のタイミングとやり方、そして出国後・ビザ失効後でも還付を受けられるのかを、順番にわかりやすく整理します。
この記事は、シドニーでの留学・滞在経験があり、オーストラリア留学のサポート事業を運営している立場から、公的機関の情報と現地での見聞をもとにまとめています。ただし税制は年度ごとに変わることがあるため、最終的な判断はATO(Australian Taxation Office、オーストラリア国税庁)の公式情報を必ず確認してください。なお、そもそもの費用の全体像を知りたい方は「シドニー留学の費用相場|期間別・項目別の内訳と抑え方」も参考にしてください。また、この記事は「働いた後に税金の一部が戻ってくる仕組み」に絞った内容なので、そもそも働く条件や時給の相場を知りたい方は「シドニー留学中のアルバイト完全ガイド|ビザ別条件と時給相場」をあわせてご覧ください。
タックスリターン(確定申告)とは何か
日本の年末調整・確定申告との違い
日本では会社員の場合、多くは勤務先が「年末調整」という形で所得税の過不足を自動的に精算してくれます。一方オーストラリアでは、雇用主は毎月の給与から所得税を天引き(源泉徴収)しますが、その金額はあくまで概算です。1年間(オーストラリアの会計年度は7月1日〜翌年6月30日)の実際の所得や状況に基づいて正確な税額を計算し直し、天引きされすぎていた分があれば還付を受け、逆に不足していれば追加で納める、という「確定申告」を自分で行う必要があります。これがタックスリターンです。日本のように会社が自動でやってくれるわけではない、という点がまず大きな違いです。
もっとも、日本でもアルバイトを掛け持ちしていたり、副業があったりする場合は自分で確定申告をする必要がありますので、「日本にはない特殊な制度」というより「日本でいう確定申告を、オーストラリアでは基本的に全員が毎年行う」とイメージすると理解しやすいでしょう。
なぜワーホリ・留学生にも関係があるのか
ビザの種類にかかわらず、オーストラリアで合法的に働いて給与を得ている人は、雇用主が所得税を源泉徴収しています。学生ビザで許可された範囲のアルバイトをしている人も、ワーキングホリデービザ(サブクラス417・462)で働いている人も対象です。天引きされる税額はあくまで見込み計算のため、実際の年間所得額や税率区分によっては「天引きされすぎ」の状態になっていることが多く、申告することで差額が戻ってくる可能性があります。
なお、留学やビザに関する制度・費用は年月とともに変わっていくものです。運営者自身、20年ほど前に学生ビザをオーストラリア国内から申請した際は申請料が500ドル前後だったと記憶していますが、現在はかなり値上がりしています。税率や申告のルールも同様に、時期によって変更されることがあるため、「昔こうだった」という情報を鵜呑みにせず、その都度最新情報を確認する姿勢が大切です。
働き始める前に必要なもの:TFN(タックス・ファイル・ナンバー)
TFNとは何か・取得方法の流れ
TFN(Tax File Number)は、日本のマイナンバーの税務版のような、個人を識別するための番号です。オーストラリアで働く際、雇用主にこの番号を伝えることで、正しい税率で所得税が天引きされるようになります。
TFNの取得はATOの公式サイトからオンラインで無料申請できるとされています(要確認。申請時期や本人確認の方法が変更されている可能性があるため、必ずATO公式サイトで最新の申請フローを確認してください)。申請には有効なパスポート、就労が認められたビザ(ワーキングホリデービザ・学生ビザなど)、オーストラリア国内の住所が必要で、申請からTFNが郵送で届くまで数週間程度かかるとされています。渡航後、できるだけ早いタイミングで申請しておくと、いざ働き始めるときにあわてずに済みます。
TFN取得を代行すると謳う有料の第三者サイトも見られますが、TFNの申請自体はATO公式サイトから無料で行えるものです。不要な費用を払わないよう注意してください。
TFNなしで働くと税率がどう変わるか
TFNを雇用主に伝えずに働き始めることも制度上は可能ですが、その場合は非常に高い税率(要確認。ATOの資料では45%程度とされる水準)で所得税が源泉徴収されてしまうとされています。手取りが大きく減ってしまうため、働き始める前、遅くとも最初の給与が発生するまでにはTFNを取得し、雇用主に共有しておくことをおすすめします。
ワーホリビザ・学生ビザで税率はどう違う?
ワーホリ(サブクラス417/462)の税率の目安
ワーキングホリデービザ(サブクラス417・462)で働く人は、「ワーキングホリデーメーカー」として区分される専用の税率表が適用されるとされています。一般的な居住者向けの税率とは異なり、非課税枠(一定額まで税金がかからない枠)がなく、最初の所得(目安として45,000豪ドルまで)に一律15%程度の税率が適用されるとされています。これは年度ごとにATOが公表する税率表で決まるため、「毎年変わりうるもの」として捉え、申告の際にはATO公式サイトの最新の税率表を確認するようにしてください。
学生ビザで「居住者(レジデント)扱い」になるケース
学生ビザで滞在している場合は、税務上「居住者(レジデント)」として扱われるかどうかがポイントになります。目安として、6か月以上のコースに継続して通っている、オーストラリア国内に一定期間以上滞在している、といった条件を満たす場合は、税務上の居住者として扱われ、一般の居住者向けの税率(一定額までは非課税となる枠がある)が適用される可能性があるとされています(要確認。実際の判定は滞在日数・目的・生活の拠点などを総合的に見て個別に行われるため、自分がどちらに当たるかはATOの居住者判定ツールや会計士への相談で確認するのが確実です)。
つまり、同じ「留学生」でもワーホリビザと学生ビザでは税金の扱いが異なる場合があり、さらに学生ビザの中でも滞在状況によって居住者扱いになるかどうかが変わる、という二重の分かれ道があることを覚えておきましょう。
【体験談】アルバイトの求人・時給に関する気づき
運営者自身がシドニーでアルバイトをしていた頃、月に20万円ほど稼いでいた時期がありました。当時は日本食レストランの時給が9ドル前後だったと記憶していますが、今はそれよりずっと高い水準(要確認。地域や業種によって幅があります)になっていると聞きます。時給の相場が上がっているということは、それだけ年間の所得額も増えやすく、天引きされる税額や、申告で戻ってくる金額の規模も当時とは違ってくるはずです。「稼げる金額が変わってきているなら、税金の扱いもあわせて把握しておく必要がある」という意識を持つきっかけとして、覚えておいてもらえればと思います。アルバイトそのものの探し方や時給の相場については「シドニー留学中のアルバイト完全ガイド|ビザ別条件と時給相場」で詳しく解説しています。

申告のタイミングとやり方
申告期間の目安(毎年7月〜10月頃)
オーストラリアの会計年度は7月1日から翌年6月30日までです。タックスリターンは、この会計年度が終わった後の7月1日から自分で申告(自己申告)する場合は10月31日までに行うのが基本的な期限とされています(要確認。年度によって多少前後する可能性があるため、ATO公式サイトで当該年度の正確な期限を確認してください)。登録済みの税務代理人(タックスエージェント)を通じて申告する場合は、この期限より遅い期日が適用されることもあるとされています。
なお、7月に入ってすぐ申告するより、雇用主や銀行からの情報がATO側にある程度反映される7月下旬〜8月頃まで待ってから申告した方が、記入漏れや金額のずれが少なくなりやすいとも言われています。
自分で申告する方法・エージェント/会計士に依頼する方法の選択肢
申告方法には大きく分けて、ATOのオンラインシステム(myTax)を使って自分で行う方法と、登録された税理士・会計士(タックスエージェント)に依頼する方法があります。自分で行えば費用はかかりませんが、英語の税務書類を読み解く必要があり、控除できる項目を見落とすこともあります。会計士に依頼すれば費用はかかるものの、控除の見落としを防ぎやすく、英語でのやり取りに不安がある人には安心材料になります。どちらが良いというより、自分の英語力や状況に合わせて選ぶ、という考え方でよいでしょう。
必要な書類(インカム・ステートメント、銀行口座情報など)
申告の際には、雇用主が発行する「インカム・ステートメント(Income Statement、給与と源泉徴収税額をまとめた明細)」、TFN、そして還付金を受け取るためのオーストラリア国内の銀行口座情報が必要になります。インカム・ステートメントは多くの場合ATOのオンラインシステム上で自動的に確認できるようになっているとされていますが、雇用主から直接受け取る場合もあるため、勤務先にも確認しておくと安心です。
現地の銀行口座やカードの管理については、日本の銀行口座と紐づいたプリペイドカードが現地ATMでの引き出しに便利だという声もよく聞きます。還付金の受け取り自体にはオーストラリア国内の銀行口座が必要になるため、渡航後早めに口座を開設しておくことをおすすめします。口座開設や送金・カードの選び方については「シドニー留学のお金の管理術|送金・カードの選び方」で詳しく紹介しています。
出国後・ビザ失効後でも還付を受け取れるか
一時滞在者の還付タイミングの考え方
「オーストラリアを出国してしまったら、もう申告できないのでは」と心配する人もいますが、一時滞在者(ワーホリ・学生ビザなど)であっても、出国後にオンラインで申告し、還付を受け取ることは可能とされています。ただし、帰国前に申告を済ませておくのか、帰国後にオンラインで申告するのかによって、実際に還付金が振り込まれるタイミングは変わってきます(要確認。個人の状況・申告時期・ATO側の処理状況によって差があるため、「いつまでに必ず戻ってくる」といった断定はできません)。
出国前に、翌年度の会計年度末(6月30日)を待たずに早期申告(Early Tax Return)ができる制度が用意されている場合もあるとされていますが、条件が細かく定められているため、該当しそうな場合はATO公式サイトや会計士に個別に確認することをおすすめします。いずれにしても、出国前に自分の口座情報・TFN・過去の給与明細を整理しておくと、帰国後の手続きがスムーズになります。
スーパーアニュエーション(退職年金)の払い戻しとの違い
タックスリターンとよく混同されがちなのが、「スーパーアニュエーション(Superannuation、退職年金)」の払い戻し制度です。オーストラリアでは雇用主が給与とは別に一定割合を退職年金口座に積み立てる義務があり、一時滞在者がビザ失効後にオーストラリアを出国する場合、この積立金の払い戻しを申請できる制度が「DASP(Departing Australia Superannuation Payment)」です。
タックスリターンが「給与から天引きされた所得税の過不足を精算する制度」であるのに対し、DASPは「退職のために積み立てられていた年金資産を出国時に払い戻す制度」であり、まったく別の仕組みです。DASPで受け取る金額には別途、比較的高めの税率(ワーキングホリデーメーカーの場合は65%程度とされています。要確認。税率は変更されることがあるため、申告時にはATO公式サイトで最新の税率を確認してください)が源泉徴収され、この金額はタックスリターンの申告対象には含めない、という点も混同しやすいポイントです。「税金が戻ってくる話」として2つを一緒くたに考えず、別々の手続きとして捉えておきましょう。
英語の税務書類でつまずかないための準備
ここまで見てきたように、タックスリターンにまつわる書類や用語(Income Statement、TFN、Residency for tax purposesなど)はすべて英語で出てきます。制度そのものが複雑なうえ、英語の専門用語が壁になって「結局よく分からないまま放置してしまう」というケースも少なくありません。
日常的に英語に触れる機会を増やしておくと、こうした公式サイトの説明や書類を自分で読み解くハードルが少しずつ下がっていきます。特別に税務英語を勉強する必要はなく、まずは日常会話に慣れ、分からない単語を調べる習慣をつけておくだけでも違いが出てきます。渡航前からオンライン英会話などで英語に触れる時間を作っておくと、現地に着いてからの書類対応にも落ち着いて向き合いやすくなります。
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もちろん、書類の内容に自信が持てない場合は無理に自分だけで抱え込まず、会計士や税務代行サービスに相談するという選択肢もあります。英語力に自信がない段階では、そうした専門家の力を借りることも十分に合理的な判断です。
まとめ
- タックスリターンは、給与から天引きされていた所得税の過不足を精算し、払いすぎていた分があれば還付を受けられる制度
- 働き始める前にTFN(タックス・ファイル・ナンバー)を取得し、雇用主に伝えておくことが重要
- ワーホリビザと学生ビザでは税率の扱いが異なる場合があり、学生ビザでも滞在状況によって「居住者扱い」になるかどうかが変わる
- 申告は自分でオンライン(myTax)で行うこともできるが、会計士やタックスエージェントに依頼する選択肢もある
- 出国後・ビザ失効後でも一定の条件のもとで還付を受けられるとされているが、タイミングは個人の状況によって異なり、スーパーアニュエーションの払い戻し(DASP)とは別の制度であることも忘れずに
税金や還付金にまつわる情報は年度・個人の状況によって変わるものが多く、この記事の内容も「一般的な傾向」としてお読みください。最終的な判断は、必ずATO公式サイトの最新情報を確認するか、会計士・税務代行サービスに相談したうえで行ってください。
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渡航前から英語での「読む・聞く・伝える」に少しずつ慣れておきたい方は、オンライン英会話の無料体験から始めてみるのも一つの方法です。
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