「ファームジョブって、実際どんな仕事をするの?」「セカンドワーキングホリデービザを取るために農場で働かないといけないと聞いたけど、本当にそこまでするべき?」——オーストラリアにワーキングホリデーで滞在している方、これから渡航する方から、こうした疑問をよく聞きます。ファームジョブは旅費・生活費を稼ぐ手段としてだけでなく、ワーキングホリデービザの延長条件をクリアする方法としても注目されている働き方です。しかしその一方で、時給や条件についてはあいまいな情報も多く、悪質な求人によるトラブルも報告されています。
この記事では、ファームジョブの仕事内容の種類、給料相場の考え方、セカンドワーホリ・サードワーホリとの関係、求人の探し方、そして気をつけたいトラブルまでを順番に解説します。筆者はシドニーでの留学・滞在経験があり、オーストラリア留学のサポート事業を運営する中で、ビザ条件をクリアするためにファームでの就労を選んだ人・選ぼうとして計画通りにいかなかった人、どちらの相談も受けてきました。制度や時給に関わる部分は変更されやすいため、この記事では断定を避け「要確認」の情報は必ずその旨を明記し、公式情報源へのリンクも添えています。
ファームジョブとは?仕事内容の種類
ファームジョブとは、その名の通り農場(ファーム)で行う労働のことです。オーストラリアは国土が広く農業が盛んなため、季節ごとにたくさんの人手が必要になり、ワーキングホリデーで滞在する人たちが短期的な働き手として重宝されています。ひとくちに「ファームジョブ」と言っても、仕事内容はいくつかのタイプに分かれます。

果物・野菜の収穫(フルーツピッキング)
もっともイメージされやすいのが「フルーツピッキング」と呼ばれる収穫作業です。ぶどう・いちご・りんご・マンゴー・柑橘類など、地域や季節によって収穫する作物が変わります。木に登ったり、しゃがんだ姿勢を長時間続けたりと、体力を使う作業が中心です。収穫のタイミングは天候や作物の生育状況に左右されるため、「明日から急に人手が必要」「今週で収穫期が終わる」というように、働ける期間が読みにくい面もあります。
パッキング工場での仕分け・箱詰め作業
収穫された作物を選別し、サイズや品質ごとに仕分けて箱詰めする「パッキング(パッキングシェッド)」の仕事もファームジョブの一種です。屋外での収穫作業に比べると天候の影響を受けにくく、立ち仕事が中心ですが直射日光を浴び続けることは少ないため、体力面で収穫作業がきついと感じた人が切り替えることもあります。ベルトコンベアの流れ作業に合わせて手を動かし続ける集中力が必要です。
家畜関連の仕事(牧場・酪農など)
牛・羊などの家畜を扱う牧場(ステーション)や酪農(デイリーファーム)での仕事もあります。搾乳や餌やり、柵の修繕など作業内容は多岐にわたり、広大な敷地で暮らしながら働く形態になることが多いのが特徴です。収穫作業に比べると求人数は少なめですが、都市部から離れた土地でオーストラリアらしい暮らしを体験したい人には人気があります。動物を扱う経験や、早朝からの体力仕事に耐えられるかどうかが向き不向きの分かれ目になりやすい仕事です。
ファームジョブの給料相場|時給制と出来高制の違い(要確認)
ファームジョブの給料は、大きく分けて「時給制」と「出来高制(ピースレート)」の2つの支払い方があります。どちらの制度で働くかによって、同じ作業でも収入の実感がかなり変わってきます。ここで紹介する金額はあくまで調査時点の目安であり、実際の相場は年ごとの最低賃金改定や農場・雇用主によって変わるため、必ず最新情報を確認してください。
時給制(Award Wage)の相場
オーストラリアには業種ごとに最低賃金を定めた「Award(award wage、award=労働協約に基づく最低賃金の枠組み)」という制度があります。農業分野ではPastoral Award(牧畜関連)やHorticulture Award(園芸・農産物関連)といった枠組みが適用されることが多く、カジュアル雇用(正社員ではない臨時雇用のこと。有給休暇がない代わりに時給が上乗せされる仕組み)の場合、時給30ドル台前半程度になるとされています。ただしこの金額は毎年見直されるうえ、地域や職種によっても差があるため、実際に働く前に必ずFair Work Ombudsman(オーストラリア政府の公正労働監督機関)の公式サイトや雇用主に最新の適用Awardと時給を確認することをおすすめします。
出来高制(ピースレート)のメリット・デメリット
フルーツピッキングでは、収穫した量に応じて報酬が決まる「出来高制(ピースレート)」が採用されることも多くあります。作業に慣れて手際がよくなれば時給換算で高収入になる可能性がある一方、初心者のうちはペースが上がらず思ったほど稼げないというのが実情のようです。なお、出来高制であっても、その日の作業量から計算した収入が最低賃金を下回る場合は、雇用主が差額を補う義務があるとされています。「出来高制だから最低賃金より低くても仕方ない」ということはない、という点は覚えておきたいポイントです。ただし制度の詳細や運用実態は変わる可能性があるため、契約前に給与体系についてはっきりと確認し、口約束だけで終わらせないようにしましょう。
セカンドワーホリ・サードワーホリの取得条件とファームジョブ(要確認)
ファームジョブが注目される大きな理由のひとつが、ワーキングホリデービザの「セカンドビザ(2年目)」「サードビザ(3年目)」の取得条件との関係です。オーストラリアのワーキングホリデービザ(417・462ビザ)には、1年目の滞在中に政府が指定する地方地域(リージョナルエリア)で、指定された産業に一定期間従事すると、次の年のビザを申請できる制度があるとされています。この「指定された産業」に農業(ファームジョブ)が含まれていることが、多くの人がファームジョブを選ぶ理由です。
要注意: オーストラリア移民局は2026年に入り、ワーキングホリデーの2年目・3年目の申請制度そのものを見直す方針を発表したと報じられています。従来のように指定労働の日数を満たせば延長ビザを申請できる仕組みから、抽選(バロット)制度に切り替わる可能性が伝えられており、対象地域・対象産業・必要日数といった条件も含めて、今後変更される見込みです。この記事の内容は執筆時点の一般的な情報にとどまるため、実際に申請を検討する際は、必ずオーストラリア移民局(Department of Home Affairs)の公式サイトで最新の制度を確認してください。
対象となる地域・産業を確認する
指定地域は郵便番号で細かく区切られており、同じ州の中でも「対象になる地域」と「対象にならない地域」が混在しているとされています。対象産業も農業だけでなく、ホスピタリティ(飲食・宿泊)、建設、災害復旧など複数の分野にまたがっており、地域と産業の組み合わせによって条件が変わることもあるようです。求人が「セカンドビザの条件を満たせます」とうたっていても、実際に自分のケースに当てはまるかどうかは、移民局の公式ツールや情報で個別に確認する必要があります。
必要な証明書類・給与明細の保管
ビザ条件クリアのために働いた日数は、自己申告だけでは認められません。給与明細(ペイスリップ)、雇用主が発行する就労証明書、銀行口座への振込記録など、実際に働いたことを裏付ける書類をきちんと保管しておくことが欠かせないとされています。特に現金払いの農場では記録が残りにくいため、後になって「証明できない」というトラブルにつながりかねません。この点は次の体験談でも触れます。
ビザの種類や選び方そのものについては、シドニー留学のビザ、どれを選ぶ?学生ビザ・ワーホリ・ETAの違い、セカンドビザと学生ビザの比較についてはオーストラリアワーホリ2年目、セカンドビザか学生ビザかで詳しく解説しているので、あわせて確認してみてください。
【体験談】ビザ条件クリアのために選んだファーム労働のリアル
実際にビザ条件のためにファームジョブを選んだ人、選ぼうとして実現しなかった人、両方の相談を受けたことがあります。
ある方は、ワーキングホリデー終了後もオーストラリアに長く滞在するため、追加のビザ条件を満たす必要がありました。到着後すぐに、対象地域(北部やタスマニアなど)で決められた期間の農場労働に従事し、必要な就業日数を積み重ねてビザ条件をクリアしています。「農場に行けば何とかなる」という軽い気持ちではなく、渡航前から滞在計画そのものを戦略的に考える必要があったと振り返っていました。
一方で、計画通りにいかなかったケースもあります。ワーキングホリデービザでサッカー留学をしていたある選手は、セカンドワーキングホリデービザの申請のためにファームで3か月働く計画を立てていました。しかし、所属していたリーグのシーズンとトライアル(入団テスト)のシーズンが重なり、3か月まとまった時間を空けることが難しく、結局この計画は一度も実現しませんでした。活動によっては「農場に行けばいい」と単純に割り切れない事情もあるということが分かる例です。
こうしたビザ選択の詳しい考え方や、実際にどのタイミングで判断すべきかについては、オーストラリアワーホリ2年目、セカンドビザか学生ビザか、ファーム以外のアルバイトの選択肢についてはシドニー留学中のアルバイト完全ガイド|ビザ別条件と時給相場で詳しく取り上げているので、あわせてご覧ください。
ファームジョブの探し方|求人サイト・エージェント・現地ネットワーク
ファームジョブを探す方法はいくつかあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
Harvest Trail(政府の求人サイト)など主な求人チャネル(要確認)
オーストラリア政府が運営する求人サイト「Harvest Trail」(季節労働の求人情報を集めたサイト)は、公式の窓口として紹介されることが多いチャネルです。このほか、日本語の求人情報を扱うサイト(日豪プレスなど)、ワーキングホリデーの求人アプリ、Facebookグループなどが主な探し方として挙げられます。ただし、こうした求人サイト・アプリの運営状況やサービス内容は変わりやすいため、実際に利用する前に、現在も運営されているか、口コミの評判はどうかを確認しておくと安心です。
バックパッカーホステル・SNS・口コミでの情報収集
ファームジョブは、実際に現地のバックパッカーホステルに滞在しながら求人を探す「現地ネットワーク」方式もよく使われます。すでにファームで働いている人からの紹介や口コミは、求人サイトには載らない生の情報が得られるという利点があります。求人は友人の紹介などで見つかることも多く、これはファームジョブに限らずオーストラリアでのアルバイト探し全般に言えることです。ただし、紹介だからといって条件確認を省略せず、給与体系・労働時間・宿泊費の扱いなどは必ず自分の目で確かめるようにしましょう。
ファームジョブで気をつけたいこと
ファームジョブは魅力もある一方、注意しておきたい点も少なくありません。
給与未払い・悪質な雇用主のトラブルを避ける
残念ながら、給与を正しく支払わない、宿泊費や食費を不当に天引きする、約束していた労働時間より短くしか働かせてもらえないといったトラブルが起きることがあるとされています。契約内容(時給・出来高の条件、宿泊費の有無、労働時間)を事前に書面やメッセージで確認し、実際に働いた記録(給与明細・振込記録)を必ず保管しておくことが、後でトラブルになったときの自衛策になります。もし給与未払いなどのトラブルに遭った場合は、Fair Work Ombudsman(オーストラリアの公正労働監督機関)に相談できる窓口があるとされているので、一人で抱え込まず公的な相談先を頼ることも選択肢に入れておきましょう。

体力的なきつさと安全対策(暑さ・虫・怪我)
ファームジョブは屋外での作業が多く、オーストラリアの強い日差しの下で長時間働くことになります。熱中症対策(こまめな水分補給・帽子や長袖での日焼け対策)は必須です。また、慣れない農作業道具の扱いによる怪我、虫刺され、地方特有の危険な生物への注意も欠かせません。都市部の生活とはまったく違う環境になるため、事前に必要な装備(帽子、日焼け止め、虫除け、作業に適した靴)を整えてから臨むことをおすすめします。
作業指示や給与の確認で困らないための英語の準備
ファームジョブでは、雇用主や現場スタッフからの作業指示、休憩時間の連絡、体調不良や給与の相談など、簡単な英語でのやり取りが日常的に発生します。専門的な英語力は必須ではありませんが、「とっさに簡単な受け答えができるかどうか」は、現場での安心感に直結します。特に給与や労働時間について「聞き取れなかったので確認できなかった」ということがないよう、日常会話レベルの英語には渡航前から慣れておきたいところです。
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まとめ
- ファームジョブには収穫(フルーツピッキング)・パッキング工場・家畜関連など複数の種類があり、体力面での向き不向きが分かれる
- 給料は時給制・出来高制のどちらもあり、金額の目安は年々変わるため必ず最新の公式情報を確認する
- セカンドワーホリ・サードワーホリの条件(対象地域・産業・必要日数)は2026年に制度そのものが見直される可能性があり、移民局の公式情報を必ず確認する
- 求人は政府サイト・日本語求人サイト・現地ネットワークなど複数のチャネルがあるが、条件確認と証拠書類の保管はどの経路でも欠かせない
- 給与未払いなどのトラブルに備え、契約内容の事前確認と公的な相談窓口の存在を知っておくと安心
ファームジョブは、稼ぐ手段としてもビザ条件クリアの手段としても、事前の情報収集と準備次第で結果が大きく変わってきます。渡航前・滞在中の計画づくりの参考になれば幸いです。
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