「英語力に自信がないけれど、いつかオーストラリアの大学や専門学校で学んでみたい」——そう思っても、いきなり大学に出願するのはハードルが高いと感じる方は多いのではないでしょうか。実は、語学学校からスタートして段階的に大学進学を目指す「パスウェイプログラム」という仕組みを使えば、今の英語力が初級であっても、着実にステップアップしていくルートがあります。
この記事では、パスウェイプログラムの基本的な仕組みから、進学に必要とされる英語力の目安、メリットと注意点、そして進学につながる学校選びのポイントまでを、体験談を交えながら解説します。筆者はオーストラリア留学(サッカー留学を含む)のサポート事業を運営しており、シドニーでの留学・滞在経験もあります。なお、パスウェイプログラムの入学基準・費用・期間は学校や大学によって大きく異なるため、この記事ではできるだけ「要確認」「〜が一般的とされている」という表現で紹介し、断定を避けています。最終的な条件は必ず志望校の公式情報で確認してください。
パスウェイプログラムとは何か
パスウェイ(pathway)とは英語で「道筋」という意味です。オーストラリアの大学進学における「パスウェイプログラム」とは、語学学校や進学準備コースを経由して、段階的に大学・カレッジの本科(正規の学位課程)へ進学していくルートのことを指します。日本の高校卒業後すぐに現地の大学へ出願できるだけの英語力・成績がなくても、このルートを使えば進学の可能性が開けるのが特徴です。
語学学校 → ファウンデーションコース → 大学・カレッジ本科という流れ
パスウェイプログラムの典型的な流れは、大きく分けて次のようになります。
- 語学学校で英語力の基礎を固める(EAP=English for Academic Purposes、アカデミック英語のためのコースを含むことが多い)
- ファウンデーションコース(大学進学準備コース)、またはディプロマ・準学士コースに進む
- 提携する大学・カレッジの本科(学位課程)に進学する
ファウンデーションコースは、日本の高校卒業程度の学力を、オーストラリアの大学1年次にスムーズにつなげるための橋渡し役を果たすコースで、期間は8か月〜1年程度が一般的とされています(学校により異なるため要確認)。エッセイの書き方や学術的なプレゼンテーションの方法など、大学の授業についていくために必要な「アカデミックスキル」も、このコースの中で身につけていきます。
TAFE(オーストラリアの公的職業訓練カレッジ)などで提供されているディプロマコースやアソシエイトディグリー(準学士)コースも、パスウェイの一つの選択肢です。これらを修了すると、大学の1年次を免除されて2年次から編入できる制度を持つ大学もあると言われていますが、対象になる大学・学部は限られるため、必ず個別に要確認です。

ダイレクトエントリーコースとの違い(要確認:学校・大学によって基準が異なる)
パスウェイプログラムとよく比較されるのが「ダイレクトエントリー」という進学方法です。ダイレクトエントリーとは、IELTSなどの公的な英語試験のスコアや、日本の高校の成績を使って、ファウンデーションコースなどを経由せずに大学の学位課程へ直接出願する方法を指します。すでに一定以上の英語力・学力がある人にとっては、パスウェイより短い期間で進学できる可能性がある一方、必要なスコアに届いていない場合は選択できません。
一方パスウェイプログラムでは、大学・カレッジと提携している語学学校やファウンデーションコースを修了し、決められた成績・出席率などの条件をクリアすることで、IELTSなどの外部試験のスコアを別途取得しなくても進学できるケースがあると言われています。ただし、これはあくまで「大学と提携している(パスウェイ提供の認定を受けている)語学学校・コース」を利用した場合の話です。提携関係のない語学学校に通っていても、自動的にパスウェイが使えるわけではない点には注意が必要です。どの語学学校がどの大学・カレッジと提携しているかは学校ごとに異なるため、興味のある大学が決まっている場合は、その大学と提携している語学学校かどうかを事前に確認することをおすすめします。
進学に必要な英語力の目安
IELTSなど英語力レベルと必要スコアの一般的な目安(要確認:学校・コースにより異なるため断定しない)
「結局、どのくらいの英語力があれば進学を目指せるのか」というのは、多くの方が気になるポイントだと思います。あくまで一般的な目安として言われている数字を紹介しますが、大学・学部・コースによって基準は大きく異なるため、必ず志望校の最新の公式情報で確認してください。
- 大学の学位課程に直接出願する場合(ダイレクトエントリー):IELTS Academic(アカデミックモジュール)でOverall(総合スコア)6.0〜6.5程度が一般的な目安とされ、学部・専攻によっては7.0以上を求められることもあると言われています
- ファウンデーションコースやディプロマなどの進学準備コースに入る場合:IELTS Overall 5.5〜6.0程度が目安とされることが多いようです
- 語学学校のEAP(アカデミック英語)コースからスタートする場合:IELTSのスコアがまだない、あるいはさらに低いスコアの段階からでも、語学学校の英語レベル判定テストを受けてスタートできることが一般的です
つまり、今の時点でIELTSのスコアがゼロ、あるいは英語にあまり自信がない状態からでも、語学学校のレベル別クラスから始めて、段階的にファウンデーションコース、そして大学本科へとステップアップしていく道筋があるということです。ちなみにIELTSにはAcademicモジュールとGeneral Trainingモジュールの2種類があり、大学の学位課程への出願にはAcademicモジュールのスコアが必要とされているので、あわせて確認しておきましょう。
英語力が初級の場合のステップアップ例(語学学校で基礎固め→ファウンデーション→本科)
英語力が初級の段階から大学進学を目指す場合、一般的には次のようなステップを踏むことになります。
- 語学学校の一般英語コースで基礎的な英語力を固める
- 語学学校のEAP(アカデミック英語)コースで、大学の授業で必要になる読解・ライティング・プレゼンテーションのスキルを身につける
- ファウンデーションコースやディプロマコースに進み、専門分野に応じた予備知識も学びながら、進学に必要な成績・出席率をクリアする
- 提携する大学・カレッジの本科に進学する
期間はもちろん人によって差がありますが、初級の英語力からスタートする場合、大学本科に進学するまでに1年半〜2年程度かかることも珍しくないと言われています(あくまで一例で、個人差・学校差が大きい点は要確認)。
この点について、留学サポートの現場でよく感じるのは、「どの学校を選ぶか」以上に「本人がどれだけ努力を積み重ねられるか」が結果を左右するということです。ある留学経験者は、語学学校時代を振り返って「学校は多くあるが、どこに行っても自分が頑張らなければ英語力はあがらない」と話していました。パスウェイプログラムは、あくまで「進学に必要な条件を段階的にクリアしていくための仕組み」であって、通っているだけで自動的に英語力が伸びるわけではありません。日々の授業に加えて、自分から復習や実践の機会を作る姿勢が、結局は進学の可否を分ける大きな要素になります。
パスウェイプログラムのメリットと注意点
メリット(入学基準が緩和される、アカデミックスキルを先に身につけられる)
パスウェイプログラムを利用する主なメリットは、次のようにまとめられます。
- 入学基準が段階的に緩和される:IELTSなど外部試験の高いスコアがなくても、語学学校・ファウンデーションコースの成績・出席率をクリアすることで進学を目指せるケースがある(要確認:提携校かどうかによる)
- 大学の授業についていくためのアカデミックスキルを先に身につけられる:エッセイの書き方、レポートの構成、プレゼンテーションの進め方など、大学に入ってから初めて必要になるスキルを、ファウンデーションコースの段階で練習できる
- 同じような目標を持つ仲間と出会える:同じパスウェイを進む留学生同士でクラスが構成されることが多く、進学という共通の目標に向かって励まし合える環境になりやすい
注意点(期間と費用がかかる、学校によって提携大学の実績に差がある)
一方で、いくつか押さえておきたい注意点もあります。
まず、ダイレクトエントリーに比べて進学までの期間が長くなりやすいという点です。語学学校からファウンデーションコースを経由する分、その分だけ時間がかかります。あわせて、語学学校・ファウンデーションコース分の学費が別途かかるため、トータルの費用感は事前にしっかり確認しておく必要があります。ファウンデーションコースの年間費用は、学校によって大きく異なりますが、日本円で数百万円規模になることもあると言われており(要確認)、渡航前に大まかな総額をシミュレーションしておくことをおすすめします。留学全体の費用相場については、シドニー留学の費用相場|期間別・項目別の内訳と抑え方でも詳しく解説しています。
また、学校によって提携している大学・カレッジの実績・知名度に差がある点にも注意が必要です。同じ「パスウェイコース」という名前がついていても、提携先の大学のレベルや、実際にどれくらいの卒業生がスムーズに大学へ編入できているかは学校ごとに異なります。この点は次の章で詳しく解説します。

「出席管理が緩く卒業・進学の質が伴わない学校」への警鐘(グレーな学校を避ける重要性)
ここで一つ、留学を検討する方にぜひ知っておいてほしい注意点があります。それは、学校の中には出席管理が緩く、ビザの発行を優先しているように見える「グレーな学校」が一部に存在するとも言われている、ということです。
こうした学校は、一見すると「通いやすい」「気楽に通える」と感じられるかもしれません。しかし、出席日数や学習成果に対するチェックが緩いということは、裏を返せば、その学校で本当に必要な英語力やアカデミックスキルが身についているかどうかが担保されにくいということでもあります。パスウェイプログラムを使って進学を目指す場合、ファウンデーションコースや提携大学側は、その学校での学習成果をある程度信頼した上で受け入れているはずです。教育の質が伴わない学校を選んでしまうと、いざ本科への進学審査の段階になって、英語力やアカデミックスキルの不足が明らかになり、思うように進学できないというリスクにもつながりかねません。
安さや通いやすさだけを基準に学校を選ぶのではなく、ビザの正当性や教育の質がきちんと担保されている学校かどうかを見極めることが、遠回りに見えて実は一番の近道になります。これは決して「抜け道」や「グレーな選択肢」を勧めるものではなく、あくまで注意喚起として知っておいていただきたいポイントです。
進学につながる学校選びのポイント
パスウェイを使って着実に進学を目指すために、学校を選ぶ際にチェックしておきたいポイントを3つ紹介します。
提携大学・カレッジの実績を確認する
まず確認したいのが、その語学学校・ファウンデーションコースが、どの大学・カレッジと提携しているかという点です。提携先の大学のレベルや、実際に毎年どれくらいの卒業生がスムーズに大学へ進学できているか(進学実績)は、学校説明会や公式サイト、留学エージェントへの相談などを通じて確認できることが多いです。「パスウェイコースがある」という表面的な案内だけでなく、具体的な提携大学名や進学実績まで踏み込んで質問してみることをおすすめします。
カウンセリング・進路サポート体制の充実度を見る
パスウェイプログラムを進める中では、途中で「本当にこの大学・学部でいいのか」「英語力の伸びが思ったより遅い」といった悩みが出てくることもあります。そんなときに、進路カウンセラーや学習アドバイザーが相談に乗ってくれる体制が整っているかどうかは、学校選びの大事な判断材料になります。個別面談の頻度、進路相談の窓口の有無、成績が伸び悩んだ場合のフォロー体制などを、入学前に確認しておくと安心です。
先生・クラスとの相性も重要(モチベーション維持の観点)
意外と見落とされがちですが、パスウェイプログラムは半年〜1年以上という長い期間、同じ学校に通い続けることになります。そのため、カリキュラムの内容だけでなく、日々の授業を担当する先生やクラスメイトとの相性も、モチベーションを維持する上で重要な要素になります。
ある留学経験者は、語学学校選びを振り返って「学校は多くあるが、結局は先生との相性により良し悪しが決まる」と話していました。パスウェイのように長期間にわたるコースであれば、なおさらこの「相性」の影響は大きくなります。可能であれば体験レッスンや学校見学の機会を活用し、実際の授業の雰囲気やクラスの人数、先生の指導スタイルを自分の目で確認してから決めることをおすすめします。学校選び全般のチェックポイントについては、シドニーの語学学校の選び方|失敗しないチェックポイントと体験談でも詳しく紹介しています。

渡航前・留学中にできる英語力アップの工夫
パスウェイプログラムを使う場合でも、進学までのステップを少しでもスムーズに進めるためには、日々の英語学習の積み重ねが欠かせません。
IELTS対策・アカデミック英語の勉強法
IELTSを使ってダイレクトエントリーを目指す場合はもちろん、パスウェイを利用する場合でも、語学学校のレベル判定や進級テストの対策としてIELTS形式の問題に慣れておくことは有効です。リーディング・リスニング・ライティング・スピーキングの4技能をバランスよく鍛える必要があり、特にライティングとスピーキングは独学だけでは対策が難しいと言われています。渡航前にできる英語準備の具体的な方法や教材の選び方については、シドニー留学に必要な英語力は?準備とオンライン英会話活用法で詳しく紹介しているので、あわせて参考にしてください。
また、実際に現地で英語力を伸ばしている留学経験者の工夫については、シドニー留学中に英語が伸びない?現地でできる7つの工夫でも解説しています。パスウェイを進む中で「思ったより英語が伸びない」と感じたときの参考にしてみてください。
現地の英会話教室を活用して基礎力を底上げする
語学学校やファウンデーションコースの授業だけに頼らず、現地や渡航前からオンライン英会話などを併用して「話す機会」を意識的に増やしておくことも、パスウェイをスムーズに進めるための一つの工夫です。特にアカデミックな文脈での英語表現は、教科書だけでは実感を持ちにくいこともあるため、マンツーマンで会話しながら表現を身につけられる環境は、進学準備の心強い味方になります。
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は、進学を見据えてアカデミック英語やIELTS対策に力を入れたい人にも活用しやすいサービスの一つと言われています。料金プランや講師の質は変わることがあるため、実際に利用する際は必ず公式サイトで最新情報を確認してください。
まとめ
- パスウェイプログラムとは、語学学校・ファウンデーションコース(進学準備コース)を経由して、段階的に大学・カレッジの本科へ進学していくルートのこと
- 進学に必要な英語力の目安は、ダイレクトエントリーでIELTS Overall 6.0〜6.5程度、ファウンデーションコースなどの準備コースで5.5〜6.0程度が一般的とされているが、大学・コースによって基準は大きく異なるため必ず要確認
- パスウェイには「入学基準の緩和」「アカデミックスキルを先に身につけられる」というメリットがある一方、進学までの期間・費用がかかる点、出席管理が緩い「グレーな学校」を避けるべき点には注意が必要
- 学校選びでは、提携大学の実績・進路サポート体制・先生やクラスとの相性を確認することが、着実な進学につながる
- 渡航前・留学中を通じて、IELTS対策やオンライン英会話などを活用しながらコツコツ英語力を積み上げていく姿勢が、結局は一番の近道になる
英語力に自信がない今の状態からでも、パスウェイプログラムという段階的なルートを知っておけば、大学・専門学校進学という目標が現実的な選択肢として見えてくるはずです。まずは興味のある大学・学部の提携校情報を調べるところから、一歩を踏み出してみてください。
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