オーストラリア留学の英語力証明ガイド|IELTS・PTE・TOEFLの違い

英語学習用のノートPCとテキストが置かれたデスク 英語学習

「オーストラリア留学を考えているけれど、英語の試験は何を受ければいいの?」「IELTS・PTE・TOEFL、名前は聞いたことがあるけれど違いがよく分からない」——留学準備を進めるうちに、こうした疑問にぶつかる人は少なくありません。学校のパンフレットやビザの申請書類に試験名だけがずらりと並んでいて、どれから手をつければいいのか迷ってしまうのも無理はないと思います。

この記事では、オーストラリア留学で使われる代表的な英語力証明試験の種類と特徴、語学学校・専門留学(TAFEなど)・大学進学・学生ビザといった目的別のスコアの目安、そして試験対策として渡航前からできることを整理してお伝えします。あわせて、点数だけでは測れない「現場で試される英語力」についても、実際に語学学校で英語を学んだ人の実感を交えて紹介します。

筆者はオーストラリア留学のサポート事業を運営しており、シドニーでの留学・滞在経験があります。制度面の情報は各試験機関・教育機関の公式情報をもとに整理していますが、スコア基準や制度は年度によって変わることがあるため、最終判断は必ず出願先の学校や移民局(オーストラリア内務省)の公式サイトでご確認ください。

英語のワークブックとプランナーが置かれた机

オーストラリア留学で使われる英語力証明試験の種類

まず、オーストラリア留学の場面でよく名前が挙がる英語力証明試験を整理しておきましょう。試験によって出題形式や受験できる場所、結果が出るまでの期間が異なります。

IELTS(アイエルツ)とは

IELTS(International English Language Testing System)は、イギリス発祥の英語力証明試験で、オーストラリアの大学・TAFE(専門学校)・学生ビザ申請などで最も広く認知されている試験のひとつとされています。紙形式(ペーパーベース)とコンピューター形式(コンピューターベース)があり、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能を測定します。進学・移住(永住権申請)を目的とする「アカデミック・モジュール」と、一般的な英語力を測る「ジェネラル・モジュール」の2種類があり、進学目的の場合は基本的にアカデミック・モジュールを受験する必要があるとされています。

PTE Academicとは

PTE Academic(Pearson Test of English Academic)は、Pearson社が提供するオール・コンピューター方式の試験です。全編がパソコン上で行われるため、面接官と対面するスピーキングテストがなく、マイクに向かって話す形式になっているのが特徴です。採点がコンピューターによる自動採点を中心に行われるため、結果が出るまでの期間がIELTSやTOEFLより短い傾向があるとされています。オーストラリアの多くの大学・TAFE・学生ビザ申請で認められている試験のひとつです。

TOEFL iBTとは

TOEFL iBT(Test of English as a Foreign Language Internet-Based Test)は、アメリカのETSが提供する試験で、アメリカの大学進学でよく使われるイメージを持つ人も多いかもしれませんが、オーストラリアの大学・大学院でも認められているケースが多いとされています。全編がインターネットベースで行われ、こちらも4技能を測定します。北米志向の大学院進学なども視野に入れている人には候補になりやすい試験です。

ケンブリッジ英語検定など、その他の選択肢

このほか、ケンブリッジ英語検定(Cambridge English Qualifications、C1 AdvancedやC2 Proficiencyなど)も、一部の大学・学生ビザ申請で英語力証明として認められる場合があるとされています。また、日本国内でおなじみの英検やTOEICは、オーストラリアの進学・ビザ申請では認められないケースが多いとされているため、進学先が決まっている場合は必ず募集要項で使用可能な試験の一覧を確認しましょう。

【比較表】4つの試験の特徴・受験形式・結果が出るまでの期間(要確認)

IELTS・PTE・TOEFL・ケンブリッジ英語検定の比較インフォグラフィック

試験 主な形式 スピーキングの方式 結果が出るまでの目安(要確認) 主な用途
IELTS 紙 or コンピューター 対面(面接官と直接) 数日〜2週間程度と言われています 大学・TAFE・学生ビザなど幅広く
PTE Academic オール・コンピューター マイクに録音 数日以内と言われています 大学・TAFE・学生ビザなど
TOEFL iBT インターネットベース マイクに録音 1週間前後と言われています 大学・大学院(特に北米志向)
ケンブリッジ英語検定 紙 or コンピューター 対面が中心 試験によって異なるとされています 一部の大学・学生ビザ

※受験料・結果が出るまでの期間・出題形式は改定されることがあるため、最新情報は各試験の公式サイト(IDP、ブリティッシュ・カウンシル、Pearson、ETS、ケンブリッジ大学英語検定機構)でご確認ください。

目的別・必要スコアの目安(※要確認・学校ごとに異なる)

「結局、自分にはどのくらいのスコアが必要なの?」という疑問に、目的別の目安をお伝えします。ただし、これはあくまで一般的に言われている目安であり、大学・コースごとに要件は異なり、時期によって改定されることもあるため、必ず出願先の公式情報で最終確認をしてください。

学生ビザ申請で英語力の証明が必要になるケース

オーストラリアの学生ビザ(Student Visa、サブクラス500。3か月を超えて教育機関に通学する場合に必要になるビザです)の申請では、コースの種類によって英語力証明の提出が求められる場合があります。一般的な語学学校の一般英語コースへの進学であれば英語力証明が不要なケースが多いとされていますが、大学や専門学校への進学を伴う場合はビザ申請時にもスコア提出を求められることがあると言われています。学生ビザの要件は改定されることがあるため、必ずオーストラリア内務省(Department of Home Affairs)の公式サイトで最新の要件を確認しましょう。

語学学校・パスウェイプログラムに入るための目安

一般英語コースへの入学自体には、スコア提出が不要な学校が多いとされています。ただし、IELTS対策コースなど特定のコースに入る場合は、OA(オーバーオール、総合スコア)4.0〜5.0程度を目安とする学校もあるようです。パスウェイプログラム(語学学校から大学・専門学校へのステップアップを前提としたプログラム)の場合は、最終的な進学先のスコア要件を見据えたクラス分けが行われることが一般的です。

TAFE(専門留学)に必要な目安

TAFE(Technical and Further Education、日本でいう専門学校に近い公立の職業訓練機関)への入学には、IELTSでOA5.5程度を目安とする学校が多いと言われています。ただし、コースの専門性(医療・保育系など)によってはより高いスコアを求められる場合もあるとされているため、志望コースごとの確認が欠かせません。

大学・大学院の正規留学に必要な目安

大学の学部進学ではIELTSでOA6.0程度、大学院進学ではOA6.5程度が一つの目安として語られることが多いようです。ただし、これは大学・学部によって幅があり、人気の高いコースや医療系・法律系など専門性の高い学部ではより高いスコアを求められることがあると言われています。オーストラリアの大学正規留学の出願条件については、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

ワーキングホリデー・ETA(観光ビザ)では試験は基本的に不要

ワーキングホリデービザ(Work and Holiday Visa)やETA(観光目的の電子渡航許可証)での渡航では、英語力証明試験の提出は基本的に不要とされています。英語力の証明が求められるのは、あくまで進学を伴う学生ビザや、コースの入学要件として求められる場合が中心です。

【体験談】試験のスコアだけでは測れない「現場の英語力」

ここまで制度面の話を中心にお伝えしてきましたが、実際に現地の語学学校に通った人たちの声を聞くと、「試験でのスコア」と「教室や日常会話で試される力」は、必ずしも同じものではないと感じることが多いようです。

ある大学生の女子選手は、語学学校で上級クラスに進んだ際、周りが自分より英語が上手な人ばかりで、「自分の無能さに少し落ち込む」時期があったといいます。ロッカールームでの何気ない会話も聞き取れず、苦労した時期もあったそうです。それでも、他人と比べず自分らしく頑張ろうと気持ちを切り替え、わからないことは積極的にクラスメイトに質問するようにしました。知らない人に自分から話しかける勇気を持てたことで、多くのつながりと学びを得られたと振り返っています。

この話が示しているのは、試験のスコアがどれだけ高くても、実際の教室や生活の場では「聞き取れない」「うまく言えない」という壁に必ずどこかでぶつかるということです。逆に言えば、そこで完璧を目指すのではなく、伝えようとする姿勢を持てるかどうかが、現地での英語力の伸びを大きく左右するとも言えそうです。実際、「学校で習った英語が実際の会話では通用しなかった」という声もよく聞かれ、コーチや周囲の指示が最初はほとんど理解できず、身振り手振りや周りの様子を見て状況を判断してカバーしたという経験談もあります。そこから見えてくるのは、「完璧な文法より、伝えようとする姿勢の方が大事」という実感です。

試験対策としてのスコアアップと、日常の中で伝える力を育てることは、どちらも大切ですが、性質が異なるトレーニングだと考えておくとよいでしょう。試験勉強だけに偏らず、実際に声に出して伝える経験を渡航前から少しずつ積んでおくことが、現地での早い適応につながるはずです。

どの試験を選べばいい?向いている人の特徴

多様な学生が参加する大学の教室

IELTSが向いている人

対面でのスピーキングテストに抵抗がなく、面接官との会話形式のほうがコンピューターへの発話より話しやすいと感じる人には、IELTSが向いているとされています。また、大学・TAFE・学生ビザなど幅広い用途で使えるため、「どの試験を受けるか迷っている」という段階であれば、まずIELTSを軸に検討するのも一つの方法です。

PTEが向いている人

面接官と対面で話すことに緊張してしまう、あるいは結果をできるだけ早く受け取りたいという人には、PTE Academicが向いていると言われています。全編コンピューター上で完結するため、対面形式が苦手な人には心理的なハードルが低いという声もあるようです。

TOEFLが向いている人

将来的にアメリカなど北米圏の大学院進学も視野に入れている人や、アカデミックな読解・リスニング力をしっかり鍛えたい人には、TOEFL iBTが向いているとされています。オーストラリアの大学院でも認められているケースが多いため、進路の選択肢を広げておきたい人には検討の価値があります。

スコアアップのためにできること

独学でできること(参考書・単語学習の習慣)

文法の土台を固める教材として、English Grammar in Useという参考書がわかりやすいと評判になっているようです。中上級者向けの応用編もシリーズ化されているため、自分のレベルに合わせて選ぶとよいでしょう。また、単語学習については「単語は出会いなので、どんどん会話して新しい単語に出会うのがよい」という考え方もあります。単語帳だけで覚えようとするより、実際に使う場面と結びつけて覚えるほうが定着しやすいという実感を持つ人は多いようです。

スピーキング・リスニングはオンライン英会話で場数を作る

試験対策の教材学習だけでは、スピーキングやリスニングの「場数」が不足しがちです。特にIELTSの対面スピーキングやPTE・TOEFLのマイク録音形式は、実際に声を出して話す練習を重ねておかないと、本番で思うように話せないということが起こりやすいと言われています。渡航前からオンライン英会話でアウトプットの機会を作っておくと、試験対策としてだけでなく、現地の語学学校での生活にもスムーズに慣れやすくなります。

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よくある質問(FAQ)

スコアの有効期限はどれくらい?(要確認)

一般的に、IELTS・PTE・TOEFLのスコアの有効期限は2年程度とされていることが多いようです。ただし、出願先の学校やビザ申請の種類によって扱いが異なる場合があるため、必ず出願先・移民局の公式情報で確認してください。

複数の試験を併願してもいい?

問題ありません。試験によって得意・不得意が分かれる人もいるため、時間と受験料に余裕があれば、複数の試験を受けて一番よいスコアを提出するという方法を取る人もいます。ただし、進学先やビザ申請で認められている試験の種類は限られている場合があるため、事前に確認したうえで受験する試験を選びましょう。

IELTS・PTE・TOEFLで受験料や結果が出るまでの期間は違う?(要確認)

受験料・結果が出るまでの期間は試験ごとに、また改定によっても変わることがあるとされています。一般的にはPTEやTOEFLはコンピューター中心の採点のため結果が比較的早く出やすいと言われる一方、IELTSは対面のスピーキングテストがある分、採点に一定の時間がかかる場合があるようです。正確な情報は各試験の公式サイトで確認してください。

スコアが目安に届かない場合はどうする?(進学準備コース等の選択肢)

必要なスコアに届かない場合でも、多くの大学・TAFEでは、進学準備のための英語コース(いわゆる進学準備コース・パスウェイプログラム)を用意しているケースがあります。一定期間そのコースで英語力を伸ばし、修了することで正規コースへの入学が認められる仕組みです。スコアが目安に届かないからといって進学を諦める必要はなく、こうした選択肢も含めて出願先の学校に相談してみるとよいでしょう。

まとめ

  • オーストラリア留学で使われる代表的な英語力証明試験には、IELTS・PTE Academic・TOEFL iBT・ケンブリッジ英語検定などがあり、それぞれ形式や特徴が異なります
  • 必要スコアの目安は語学学校・TAFE・大学・学生ビザなど目的によって異なり、大学6.0程度・大学院6.5程度・TAFE5.5程度といった数字が語られることが多いものの、あくまで目安であり最終判断は出願先・移民局の公式情報で確認する必要があります
  • 試験のスコアと、実際の教室・生活で試される英語力は必ずしも同じではなく、完璧さより伝えようとする姿勢が現地での適応を左右すると感じている先輩留学経験者は多くいます
  • 独学での文法・単語学習に加えて、渡航前からオンライン英会話でスピーキング・リスニングの場数を作っておくことが、試験対策にも現地生活にも役立ちます

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